山形県小国町の弥五沢砂防堰堤の直下流には国道113号やJR米坂線が通るため、土砂災害発生時のリスクは大きく、早急の整備が必要とされていました。当社は、コンクリートダムの中央を抜き、直径1m程度の鉄柱を組んで格子状のスリットにする方法のダムを施工。そこから水や小さな土砂を逃すことにより最高水位を超えない工夫のダムです。上流にダムを増やさず洪水対策ができるため、環境に配慮した技術施工です。
周辺集落には水道が整備されておらず、山間の沢と井戸から生活用水を引いています。そのため工事によって沢の水を濁らせたり、地下水脈を変化させてしまうわけにはいきません。当社は日々井戸水をサンプリングして観測を続け、水質を保つことに努めました。また辺りは絶滅危惧種クマタカの生息地で、巣づくりが確認されると繁殖の邪魔にならないよう工事が数カ月ストップしてしまうことも。現場では、常に自然環境を守りながらの施工に細心の注意を払いました。
砂防堰堤の整備により、下流への土砂流出が抑制され、直下流にある集落や重要交通網を災害から守ることが可能に。また必要に応じて築いた工事用道路は、その後、林業関係者が切り出した木を運び出す際などに活用されています。当初から末長く役立ててもらえるよう計算して築いたものなので、地域の便利な暮らしや経済活動に貢献できたことを喜んでいます。